ずーっと、首をかしげていた。

宮崎西を3安打無四死球14奪三振で完封し、周囲の評価は上がっても、履正社を苦もなく退けても、センバツ大会中の濱田達郎は、こうこぼしていた。

「なんでスピード出ないんですかねぇ」

最速でも140キロ。130キロ台中盤しか出ないのが不満だったのだ。準々決勝で光星学院に敗れた後は、4月7日の岐阜工との練習試合で2イニングを投げただけ。疲労を取り除く意味もあり、約1ヵ月試合を離れて調整した。

だが、その間も濱田は悩んでいた。4月の中旬には自ら4日連続200球の投げ込みを敢行。すべてストレートだけで変化球は1球もなし。秋の東海大会で147キロを記録した球速を取り戻そうと必死だった。

「何でいい球がいかんのか。ただがむしゃらに投げていました」

そんなときだ。倉野光生監督からこう言われた。

「去年の今頃はどうだった? 去年のやり方を思い出してみろ」

愛工大名電はセンバツに合わせた調整をしない。近年は沖縄でキャンプをする学校も多いが、名電は自校のグラウンドでの練習のみ。2月には修学旅行、3月には期末テストがあるため、投げ込みもほとんどせず、立ち投げ程度だ。テストが終わってから、大会に向けてようやくペースを上げてくる。投げれば投げるほど調子を上げるタイプの濱田なら、3連投となる準々決勝から決勝にかけて本調子を迎えるはず。倉野監督はそう考えていた。

見据えるのは、あくまで夏。ふりかえれば、前年も春の大会以降に調子を上げていた。夏の大会までは走り込みや体幹強化などをくり返していたのを思い出した。

「そこから考えて、去年と同じペースで走ったり、腹筋をやったりして、徐々に調子が上がってきました」

5月3日の日大三との練習試合で1ヵ月ぶりに登板すると、5安打13奪三振で完封。4日は法政二を5安打10奪三振で、5日は八幡商を1安打12奪三振で3日連続の完封勝利を挙げた。最速は144キロ。常時142、143キロが出るなど、球速も戻ってきた。

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